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2009年10月28日(水)
町屋のギャラリー

 都には住んでいるが、京都らしい場所に行くことはあまりない。
まあ、私の住んでいる所は郊外の宇治市なのでそれも当然だが。
 でも、今日、京都らしい町並みの中にある京都らしい町屋に行った。
町屋といっても、町屋を改装したギャラリーなのだが、知り合いのデザイナー
が個展の案内をくれたので行ってみたのだ。このデザイナーの友人・田松昌三氏
は、以前は木のおもちゃをたくさんデザインしていて、ネフ社など海外のメーカーからも
彼の手がけた製品が多数出ている才能あふれる人物。彼は東京に住んでいることも
ありなかなか会う機会も無いのだが、最近はずっとイラストの仕事をしていると
いうのは聞いていた。個展に出されたイラストは、どれも自然の事物にモチーフを
借りながらも、田松流の遊びの造形に変化させられていて楽しい。「KIKKAI」と銘打たれた
その世界は「奇怪」というよりも、私には「愉快」にさえ見えた。

 ギャラリーに入ってしばらくしてオーナーにお会いしてびっくり。もう20年くらい前に
先輩のおもちゃデザイナーのところにお勤めだった女性で、その当時におやめになって
以来会っていなかった方だった。東京におられたあの頃とは違い、すっかり関西弁
に戻っている彼女と、懐かしくお話した。奇遇といえば奇遇なのだが、帰りの電車で考えて
いたら、彼女がおもちゃデザインの事務所に勤められた出発点がこうして縁をつないできた
ように思う。(彼女自身もそう話していた)
「おもちゃ」とか「子ども」とか「遊び」とかに真剣に向き合う世界に足を突っ込んだ人が、
どこかにその志を消さずに生きてくればいつかお互い出会うのではないかな
・・・などという感慨があった。田松氏に感謝である。

 
 
なお、このギャラリー「フク和ウチ」のURLは http://www.fukuwauchi-gion.com/index.html
11月には組み木おもちゃ作家・小黒三郎さんの展示会が予定されているとのこと。ふだんは
カフェにもなっていて、町屋の落ち着いた空間のなか、少し置かれたヨーロッパの木のおもちゃなど
を見ながらゆっくりお茶することもできる。


2009年10月26日(月)
工房

 い私の工房だが、時々お客さんがみえる。24日の土曜日は、ここのところ3ヶ月連続で研修を依頼されている
障害者作業所の職員の方々が来られた。今後製品化していきたいものの試作をしてみるために、いろいろと作業
をしていただく。今回はそうでもなかったと思うが、時に、「木のおもちゃの工房」と言うと、とても楽しそうな環境を
イメージして来られる方もあるのだと思う。しかしながら、実際ものを作っている現場というものは、だいたいがそうそう
夢のある光景でもないのが現実だ。たくさん切りだされたパーツはわけのわからない形だし、木屑はちらばっているし
地味な色の機械や工具が周りを囲んでいるだけ・・・。カラフルな可愛いおもちゃが所狭しと並んでいるというような
ビジュアルにはなかなかお目にかかれないのだ。(時にそういう瞬間もあるけど)
まあ、工房なんていわば「楽屋」であって表舞台ではないのだから、人に見せるための空間ではない。ただ、それが
かえって面白いと思う酔狂な人たちもいるのだから困る。かくいう私も仲間の工房を見るのは大好きだ・・。

 日曜は、大阪・江坂にあるクレヨンハウス大阪店でおもちゃのワークショップ。私の定番「マウスボカン」を作っていただ
いた。お店の隣にあるアパレル系の会社の倉庫を休日だけワークショップ会場として借りておられるということで、今回も
そこで教室。この空間がなかなかおしゃれなのだ。写真では全体がわからないが、入り口は3mくらいのおおきな木のドア
で、ドアの横は全面ガラス張り。内部はニューヨークのソーホーにある元倉庫という感じで、片方には木造りのロフトがあり、
洋服の棚が並んでいる。ワークショップに使用させてもらった机やイスは全てムクの木の家具だった。
 そんな空間のなかで、たくさんの親子が参加してくださり、マウスボカン作りを楽しんだ。
ワークショップ後、お店の方との話の中で、「こんなところが自分の工房だったらなあ・・・」と思わずもらしてしまった。
お店の方も「そうですね、もしこんな空間がおもちゃの工房だったらぴったりですね」と言っておられた。
なかなか思いどおりにはいかないものだ。


  

2009年10月19日(月)
東京おもちゃ美術館

 17日〜18日の土日は、東京へ。四谷の東京おもちゃ美術館で開催中の「関西のおもちゃ作家」展の
連動企画としてワークショップがあったのでそのための上京だった。17日、午前11時頃に東京駅に着き、
適当に昼食。(八重洲地下街にある「てんや」という東京で展開しているチェーンの天丼屋で。てんやはよく
利用する。安いし、関東風の濃くてこってりしたダシの味が天丼にはよく合う。)
 昼すぎに東京おもちゃ美術館に入り、2時からワークショップ開始。「マウスボカン」を作っていただいた。
満員の参加者が楽しく作ってくださった。昨日の搬入からこちらに来ている出展者仲間のTさんにもお手伝い
いただく。


 ワークショップ終了後、展示会場でいろいろと知り合いの方に会う。Tさんがいろいろと知らせていたようだ。
ドイツで一緒に出展した女性ペーパークラフト作家のNさんや、同じくドイツへの同行メンバーのツアー組に
いた親子など、久しぶりに会う方ばかり。当時小学生だった子が、19歳のおしゃれな青年に成長していてびっくり。
 そんな中「覚えていらっしゃいますか?」と声をかけてくれた女性がいた。2歳くらいの男の子を連れたお母さんだ。
「10年ほど前にアトリエにおじゃまさせていただいたSです。」と言われて、その苗字とお顔からだんだんと記憶が
浮上してきて「ああ!」と思い出した。当時、木工の専門校を出られて「なにか木でおもちゃなどを作る仕事をしたい」
と相談に来られた方だった。(年に一人か二人こういう方が来られる。)この方は、前述の作家仲間Tさんと専門校時代
のお知り合いだったので、今回Tさんが知らせたということだった。世間は狭い。


 夜、東京おもちゃ美術館のショップのスタッフの方たちとご一緒して近くの居酒屋で会食。おもちゃ談義に花が咲いた。
その後、地下鉄に乗りホテルへ。今回は、「新幹線+ホテル」のパックでJR東海ツアーズが出しているプランをネット予約して
とったので、ホテル内容は未知数だ。東京ドームのすぐ近くのホテルだった。まあ、結果的には可も無く不可も無くというところか。
最近、朝食付きでリーズナブル、設備もきれいというようなビジネスホテルが増え、古い設備のホテルは四苦八苦しているのかも
しれない。こういうプランに活路を見出しているということなのかな。

 翌日は、Tさんのワークショップをお手伝いした後、おもちゃ美術館を出る。どこかに寄る時間も無いので、東京駅
に直行。今年に入って、東京も3度目だが、東京駅の地下街がずっと工事中だった。それが今回、かなり完成して、
きれいな地下街ができている。八重洲地下街が少々「昭和レトロ」な感じになりかけているので、新しいほうの地下街
ができてやっと東京駅も時代に追いついてきたかなという感じだ。


2009年10月13日(火)
アーキニアリングデザイン展

 都の北区にある美術工芸資料館というミュージアム(実は、長男の大学にあるミュージアムなんだけど)
に建築に関する展覧会を見に行く。
アーキニアリングデザイン展と題されたこの展覧会では、南米マチュピチュ、厳島神社などの世界遺産建築
から、エッフェル塔やサグラダファミリア教会、更には北京のオリンピックスタジアム「鳥の巣」など最新の建築
まで、その模型と構造がわかる構造模型が並び、建築工学的な解説がしてある。
 建築というものを「空間を間仕切る」デザインという観点からだけ見るのではなく、「応力」とか「張力」とか「荷重」
とか、構造の必然性を解き明かす観点からの展示だったのが面白かった。古いところでは「アーチ構造」とか
「トラス構造」というものから、最新のドームやコンピューターでの構造解析なしにはできなかった形態のデザイン
とか、実験的な建築物(のモデル)もたくさん見ることができた。バルセロナのサグラダファミリア教会やグエル公園、
エッフェル塔、パリのポンピドーセンター、仙台のメディアテークなどなど、実際に行ったことのある建物モデルもいろ
いろあり、建築工学的な解説を見て『ああ・・・こういう技術が使われていたんだ』と発見することがたくさんあった。
 何故か私は建築デザインが好きで、おもちゃのデザインの発想への刺激にしている。マクロ的な構造物である建築
と、手でかかえられるミクロ的なモノであるおもちゃとの間に用途としての共通点は無い。ただ、自由に立体構成する
「カタチ」の美と、生活の場であり道具であるための構造的な必然性が融合している点では共通点は多いような気がする。

 じっくりと展示を見た後、付近を少し散歩。宝ヶ池公園に続く山が北側に迫る閑静なところだ。歩いていても秋の
爽やかな風が心地よい。でも、5時半頃になるともう薄暗くなってくる。日が落ちるのが早くなってきた。

 


2009年10月8日(木)
丹波2

 て肝心のクラフトフェアだが、今回は忙しくて販売する作品の在庫を少ししか持っていけなかった。
主に触って遊んでいただくだけという感じになった。いつもながら子どもたちが群がり、トントンカチャチャと
騒がしい。
 そうした中で、とても熱心に遊ぶ男の子がいて、うまくいかなくても何度も何度もチャレンジする。お母さんは
それをせかすことなく根気よく笑顔でながめていた。長い長い時間遊んだあと「ありがとう」と言って帰って
いった親子。二日目の午後、その親子が今度はお父さんや兄弟も一緒に登場。お父さんも自分から楽しんで
よく遊んでくれた。結局、ひとつ私のおもちゃを買ってもらうことになったその男の子は、大事そうに箱をかかえて
帰っていった。じっくり遊んでみて気に入って買っていただく・・・という人と人との当たり前のやりとりができる
のがこのクラフトフェアのいいところだ。買っていただいた時の会話や子どもの表情まで覚えている。ふだん、お店
に納品しているので、どういうシチェーションで自分の商品が売れているのかわからないのだが、クラフトフェアで
対面販売の原点のようなことを体験させていただくことで、いろいろと学ぶことは多い。



  とてもいい天気で、「飛んでキャッチ」の人形もまぶしそう。       ブースに子どもたちの笑い声がひびく


    兄弟で「もぐらたたき」対戦中

2009年10月5日(月)
丹波1

  の恒例、丹波アート&クラフトフェアーに10月3日〜4日と参加。
今年は二日間ともに晴れた。クラフトフェアというもの一般について特に
積極的に参加してこなかった私だが、ここ丹波のクラフトフェアは、おもちゃ作家
の仲間が何人も参加するので、いわば仲間に会うために参加しているという
面も大きい。もちろんすでに10年ほど参加しているので来られるお客さん
や他の出店者にも知り合いが増えてきて楽しいということもある。
 今年も3日の夜は仲間5人とその家族などで近くの公共の宿に泊まり
わいわいと盛り上がった。
 翌朝、6時40分ごろに目覚めて、朝食まで付近を散歩。すごい霧で、100m
くらい先はぼんやりして何も見えない。幽玄の世界の中を鳥や虫の鳴き声だけ
を聞きながら歩く爽やかな時間だった。田舎は豊かだなあと思える瞬間だった。


いい天気に恵まれた丹波クラフトフェア

翌朝はすごい霧
 

Mtoys日記

毎日は書けないけど、、ひごろ考えていることを垣間見てもらえたらいいかな
と思います。