3年ぶりの再開だった。もう26年続いている
「京都おもちゃばこフォーラム」。コロナ禍で2
020年、2021年と休止していた。
このおもちゃばこフォーラムは、これまでこの
HPで何度も紹介しているのでご存じだとは思うが、
「おもちゃ漬けの1泊二日」のイベントで、私もス
タッフの一人になっている。京都の旅館やホテルを
借り切って、約100人ほどが、おもちゃ作りなど
のワークショップ、変わったおもちゃのフリーバザ
ール、プロの人形劇やジャグリングなどのライブシ
ョー、おもちゃ作家の手ほどきによるワークショッ
プ、フロア全体に手作りおもちゃ教室のミニコーナ
ーが何十ブースもできるおもちゃまつり、子どもと
遊びについての講演などなど、泊りがけで楽しむこ
とができる。泊りがけなので、深夜もいろんな輪が
できて、ボードゲームや伝承あそび、子育て談義な
どの交流も盛り上がる。
今年は、児童書作家の杉山亨さん(おもちゃばこ
フォーラムの提唱者でもある)のワークショップが
皮切り。
「新しい双六を作ってみよう」というテーマで、4人
で1組になって相談してそれぞれのアイデアを形にし
ていく。参加者どうしの交流にもなるわけで、伝統的
な双六というゲームを解きほぐして、再認識するとい
ろいろと発見があるのだった。
その後、フリーバザールには私も出店しているので、
Mtoysの定番おもちゃを参加者に遊んでもらう。私自
身も他のブースにでかけていろいろと面白いおもちゃ
や書籍などを買ったりする。ここでしか買えないもの
も多いのでついつい買いすぎてしまう。おもちゃばこ
の若手スタッフでもある木彫作家のささきゆうなさん
も出店していたのでうさぎの人形を購入。(孫へのプ
レゼント)ほかにも、楽しい駄玩具やカードゲームな
ども購入。
夕食はけっこう豪華版だった。夕食後は大広間でライ
ブショー。今回は、児童書作家杉山亮さんの「ものがた
りライブミニ」と、「渡辺あきらのパフォーマンスショ
ー」の2本立て。落語のような軽妙な語り口の杉山さん
の創作ものがたりと、プロのジャグリングだ。どちらも
見ごたえがある。皆でずいぶん盛り上がった。まさに
ライブの醍醐味。
夜はまだ長い。子どもたちはもう寝る時間だが、その
後9時半からは、作家が手ほどきするワークショップで、
私も担当する。今回は「ラリー」というMtoys定番玩具を
キット化したものを作っていただいた。
ワークショップが終わって10時半。久しぶりにあう
方々と膝突き合わせてじっくり話す。気が付くと12時
前になっていた。
若いころはまだまだ起きて遊んでいたが、最近は早め
に就寝。
翌朝は、6時半ごろ起きて旅館の周りを少し散歩した。
今回の宿「然林房」さんは、京都市北区鷹峯というか
なり北部で、山に近いところにある。
おもちゃまつりがスタートし、私のブースでは、今年
は、手裏剣をピュッと投げる忍者のおもちゃを用意。た
くさんの参加者が作ってくれた。おもちゃまつりは午前
中いっぱい続く。
昼食後、最後のプログラムは、京都宇治にある木のお
もちゃショップ「キッズいわきぱふ」を経営する岩城さ
んのお話。
今回は「子どもの主体性を育む大人の関わり」と題した
お話だった。
すべてのプログラムを終え、参加者が帰っていく。
また来年の再会をお互いに期して見送る。こうして楽しい
2日間が過ぎていくのだった。
おもちゃばこフォーラムでやる遊びは、基本的に「遊び
の原点」といえるものばかりであり、創作的なもの、伝承
的なもの、体や頭を直接使うアナログ的なものなどが中心
である。そういう中に木のおもちゃでの遊びも含まれるし、
工作や折り紙やあやとりやコマ回しなども含まれる。基本
的には流行にはあまり関係ないし、ノンキャラクター(ア
ニメやテレビやゲームのキャラなどは扱わない)が基本で
ある。これは特に取り決めたことでもないのだが、子どもに
とって本当に大事な遊びとは何かということを考えていく
中で自然とそうなってきたのだろう。
会場には、保育士さん、子どものための施設などの方、
教員、おもちゃの流通などに関わる方、研究者など、子ども
と遊びについての「プロ」も多い。そして普通に親子、若
者などもたくさん参加してくれて楽しんでいる。
今回、2年のブランクを経て、再開するかどうか、運営
担当のNさんも相当悩んだらしい。だって100人近くの人が
一つの旅館でワイワイやる「密」なイベントなのだ。でも、
オミクロン株になり、重症化自体がほとんどなくなり、マ
スクもシチュエーションによってははずそうという流れに
までなってきた現在、Nさんも「やれる!」と判断したの
だろう。
英断だったと私は思う。今年の申し込みが解禁になったと
たん、Nさんのところには申し込みが殺到し、電話が鳴りや
まなかったという。『皆さん自粛には飽き飽きしてたんだ
なあ』と個人的に感じた。
そして、本番の蓋を開けてみれば、みなマスクはしている
ものの、なんの不安もなく、ワイワイと普通に楽しめたのだ。
コロナ禍の過剰な対策に批判的な私ではあるが、実際にこう
いうイベントをやるにあたっては少し心配もなかったわけで
はない。世の中、マスコミなどの影響で実態以上にコロナを
未だに怖がっている人も多く、こういうイベントも敬遠され
るのではないかという心配だ。でも何も起こらなかったのだ。
普通にやれたのだ。
ある種の感慨があった。
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